読売 10/04 21:14 体細胞クローン牛を父親に子牛の出産初成功

1.キイワード；クローン牛

2.関係者；鹿児島県肉用牛改良研究所（大隅町）

3.概要；鹿児島県肉用牛改良研究所（同県大隅町、横山喜世志所長）は四日、雄の体細胞クローン牛から採取した精子で繁殖した子牛一頭の出産に成功した。研究所によると、牛のような大型ほ乳類で、体細胞クローン動物を父親に持つ子の出産は、世界で初めてという。雌の体細胞クローン牛が親となっての出産例はすでにあり、雌雄とも生殖能力が確認されたことで、優良牛の大量生産につながると期待されている。研究所によると、受精卵の核から作る受精卵クローン牛を親に持つ子牛は、これまでにも出産例があるが、成牛の細胞の核から作る体細胞クローン牛の精子での出産はなかった。研究所が一九九八年八、九月、成牛の耳の皮膚細胞をもとに作ったクローン牛二頭（いずれも黒毛和種）から、精液を採取。冷凍保存した後、九九年十二月から今年二月の間、普通の母牛二十四頭に人工授精、うち十四頭が受胎した。このうちの一頭が四日午前七時、自然分べんで、体重二十七キロの雄を出産した。母子ともに元気という。十四頭のうち、三頭が流産しており、残る十頭は来月末までに出産見込み。

農水省先端産業技術研究課によると、体細胞クローン牛を親に持つ子牛は、石川県畜産総合センターが今年七、九月、雌の同クローン牛に普通の雄牛の精子を人工授精させた結果、二頭が産まれている。鹿児島県肉用牛研究所の田原則雄・新技術開発研究室長は「体細胞クローン牛も種牛にできる可能性が高まり、実用化へ向けて一歩近づいたと言える。今後は産まれた子牛の生育状況や肉質を調べていきたい」と話している。