読売09/14 06:42 卵子・精子のもと、万能細胞から培養

1.キイワード；ES細胞、生殖細胞

2.関係者；三菱化学生命科学研究所（東京都町田市）野瀬俊明主任研究員たち

3.概要；万能細胞（ＥＳ細胞）から、卵子や精子の元になる始原生殖細胞を大量に作り出すことに、十三日までに、マウスの実験で成功した。同様に人のＥＳ細胞から精子や卵子を作ることも原理的に可能になる。今回の技術で遺伝子を改変した精子や卵子による生殖技術が登場する可能性もある。ＥＳ細胞が実際の人間の誕生に結びつく可能性が出てきたことになり、それを前提としない国のＥＳ研究規制論議などにも影響を与えそうだ。実験したのは、野瀬俊明主任研究員たち。生殖細胞だけで働く遺伝子ｖａｓａに着目、マウスのＥＳ細胞に、ｖａｓａが働くと蛍光を放つ物質を組み込んで培養したところ、千個に一個の割合で光る細胞が見つかった。これで始原生殖細胞を見分けられるようになったため、ＥＳ細胞を、骨や軟骨の形成を促すたんぱく質を作る細胞と一緒に培養したところ、始原生殖細胞に分化する率が五十〜百倍増すことを解明できた。
　現在、この始原生殖細胞をマウスの精巣に入れ、精子に育つかどうか実験しており、今後、卵子に受精させ生殖能力も確認する。野瀬主任研究員は、「動物実験以外で使うつもりはないが、将来はルールが必要になるだろう」と話している。