毎日12/06 10:10 ＜ウクライナ＞チェルノブイリ原発閉鎖への支援遅れを大統領懸念

1.キイワード；チェルノブイリ

2.関係者；ウクライナのクチマ大統領

3.概要；【モスクワ６日田中洋之】ウクライナのクチマ大統領は５日、１５日に予定されているチェルノブイリ原発の全面閉鎖に対するＧ７（先進７カ国）や欧州連合（ＥＵ）の支援が「非常に遅れている」と懸念を表明した。大統領は「国の経済は危機的状況にあり、ウクライナだけで原発閉鎖に伴う問題を解決できない」と訴えた。同原発の閉鎖をめぐっては代替原子炉建設に対する欧州復興開発銀行（ＥＢＲＤ）の融資決定などが遅れている。また、ウクライナ議会は５日、チェルノブイリ原発閉鎖に関する国際公聴会を開催し、閉鎖による電力不足や原発労働者の雇用問題などへの支援を国際社会に求めるアピールを採択した。公聴会では議会多数派の共産党のシモネンコ議長が「閉鎖決定は国際社会の圧力によるもので、国の経済を破壊する」として早期閉鎖に反対を表明した。「緑の党」のコノノフ総裁は、チェルノブイリ原発閉鎖を支持する一方、代替原子炉の建設計画を批判し、国は原子力発電の利用から脱却すべきだと訴えた。代替原子炉計画はチェルノブイリ原発閉鎖に伴う電力不足を補うため、ウクライナ西部にあるロブノ、フメリニツキの既存原発２カ所にそれぞれ原子炉を１基ずつ増設するもの。

ＥＢＲＤは２億１５００万ドルの融資を表明しているが、欧州内部には一部に慎重な意見もあり決定が遅れている。クチマ大統領によると、チェルノブイリ原発の放射能漏れ事故による国内の被害者は３２０万人にのぼり、国土の８％が汚染された。現在、１１万人の市民が汚染地域から避難しているという。[2000-12-06-10:10]