毎日12/06 20:45 ＜ＯＥＣＤ＞対日経済審査　企業主導の回復評価、リスクも強調

1.キイワード；経済審査

2.関係者；OECD

3.概要；経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は６日、日本経済についての審査報告書を公表した。景気について、「予想よりも強いことがはっきりしている」と企業部門主導の回復を評価する一方で、「今後、財政再建や不良債権処理、リストラからの強い向かい風に直面する」と下振れリスクを強調。金融緩和の維持が不可欠で、インフレ目標の設定など緩和姿勢を分かりやすく説明するために新たな手法を構築するよう勧告している。報告書は、日本経済が企業収益を原動力に自律的回復の動きがみえるとして、「２０００年下半期は年率２％程度の成長が続く」とみている。ただ、建設や不動産部門でのリストラなどが経済の足を引っ張ることから「０１～０２年は不確実性とリスクが著しく増加する」と予想。８月まで１年半続けた日銀のゼロ金利政策について「景気回復を支えた」とし、「今後一定期間は金融緩和スタンスが必要」になると指摘している。さらに、「金融政策を説明するために新しい枠組みづくりに挑戦するべきだ」としたうえで、具体的に「どの程度のインフレ率を妥当とするかといったインフレ目標をより分かりやすい形で示すことが重要」と強調している。　

一方、財政再建については、０２年以降、民需主導の成長が継続した場合に、中期的計画の策定を前提に「ゆっくりとしかし確実な財政再建に移るべき」と提言しているが、再建途上で景気が低迷した場合、「選択される政策手段は財政刺激策ではなく金融政策が好ましい」と弾力的な金融政策を求めている。　【白戸　秀和】[2000-12-06-20:45]