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毎日10/10 18:56 ＜国のバランスシート＞最大７７６兆円の債務超過に　

　大蔵省は１０日、国の財政の貸借対照表（バランスシート）を初めて公表した。１９９９年３月末の資産額を６５８兆円、負債額については、公的年金の計上の仕方によって７９１兆円、９２８兆円、１４３５億円の三つの数字を示した。いずれも負債が資産を上回る「債務超過」で、その額は１３２兆円、２６９兆円、７７６兆円になる。付属資料で、特殊法人７８のうち４機関が「債務超過」に陥り超過額が計２兆円に達していることも分かった。バランスシートは、一般会計と３８の特別会計を連結して作成、地方分は含まれない。資産は、現金・預金３３兆円、特殊法人などへの貸付金２６７兆円、土地３１兆円、公共用財産の用地・施設１０７兆円など。負債は、国が支払いや返済義務を負う国債（民間保有分）１８７兆円、郵便貯金２５２兆円、国会公務員の退職給与引当金９兆円などとなっている。年金は、国が支払いを約束している公的年金の給付額をどこまで負債とみるか定義できず、（１）過去に預かった厚生・国民年金の積立金１５３兆円（２）積立金に国庫負担分を加えた２９０兆円（３）将来の給付額全額７９６兆円――の３種類を提示した結果、負債額に差が生じた。
大蔵省は「国は利潤を求める民間企業とは異なり、債務超過でも破たんを意味しない」という。一方、特殊法人の債務超過額は、年金福祉事業団の９２２２億円を筆頭に、社会保険診療報酬支払基金９２１５億円、本州四国連絡橋公団２３２２億円、日本私学振興・共済事業団５４億円の計２兆８１３億円。出資比率に応じて債務超過を解消する場合、政府負担は計１兆４５３６億円となる。　【高橋　秀郎】
ことば　貸借対照表　ある時点の資産と負債の関係を対照して示したもので、資産と負債は必ず釣り合いが取れることからバランスシートと呼ばれる。民間企業と異なり、国には資本の概念がなく、負債が資本を上回ればすぐ債務超過になるが、単純に財政破たんには結びつかない。予算が年度ごとの資金の動きを示すのに対し、公共投資が中長期的にもたらす価値など国の資産状況の判断材料になる。[2000-10-10-18:56]