朝日12/07 14:06 ◇米セレラ社がヒトゲノム情報を無償で公開へ◇

1.キイワード；ヒトゲノム

2.関係者；セレラ

3.概要；米国の遺伝情報解析会社セレラ・ジェノミクスがこれまでに読み取ったヒトゲノム（人の遺伝情報全体）の塩基配列データを、世界中の科学者に無償で公開することを認めた、と米科学誌サイエンスが６日付で発表した。同社はゲノム解析をめぐって、日米欧の公的研究機関と激しい競争を演じたバイオ企業の代表格。契約した製薬会社などに有料でデータを提供している。公開によって、病気に関連する遺伝子の研究などがさらに加速されそうだ。サイエンス誌は世界で最も権威がある科学誌のひとつ。セレラ社の研究チームが論文の掲載を申し込んだのに対し、掲載を認める代わりに、データの一般公開を求めていた。同誌の発表によると、大学など学術研究機関の科学者は、セレラ社が読み取ったヒトゲノム塩基配列のデータベースを無料で利用できるようになるという。それを使った研究結果の公表に制約はなく、科学者は知的所有権の保護を求めることもできる。許可を取れば、ヒトゲノムのほぼ全体まで利用できる。一方、企業など商業目的の利用者は「閲覧結果を商業化しない」という契約を結ぶことを条件に、無料でデータベースにアクセスできるという。

　セレラ社は、ゲノム塩基配列の読み取りデータを製薬会社などに販売することで、ビジネスを成立させてきた。しかし、公的研究機関が無償公開する塩基配列データも多くなり、配列データだけではビジネスが成立しない状況になってきていた。セレラ社では、病気の解明などに結びつく遺伝子の機能解析などを販売することに軸足を移している。同社は「わが社の論文が新年早々に掲載されることを期待している」とのコメントを発表した。[2000-12-07-14:06]