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朝日11/08 17:42 ◇政治一家の「劣等生」、父に並ぶ　ブッシュ次期大統領◇

1.キイワード；米国大統領

2.関係者；ブッシュ次期大統領

3.概要；ジョージ・ウォーカー・ブッシュ氏は、本人は嫌うが「王朝」とも呼ばれる政治的名家の出身。父は大統領、祖父も上院議員。この日、手にした地位につくことも、何ら不思議ではない生まれと育ちだ。しかし、実際の歩みをたどると、１９９４年にテキサス州知事に当選するまでの半生は、とてもホワイトハウスにつながるとは思えない、さえないものだった。中学、高校は父にならって東部の名門校フィリップス・アンドーバーに入ったが、作文でいきなり落第点を取り、退学の恐怖におびえた。スポーツ、学業でともに名を残した父は遠い存在だった。父のあとを追ってさらにエール大に進むが、ここでも成績は月並みで、楽しい思い出はない。ハーバード・ビジネス・スクールを出て、石油開発会社を興すが、つぶれる瀬戸際まで行ったところで「ブッシュ」の名前を欲しがる投資家に買収されて救われる。４０歳の誕生日を期して断酒するまでは、酔っては手に負えなくなる「乱暴者」だったことを、弟でフロリダ州知事のジェブ氏も認める。選挙戦の最終盤で、３０歳当時の酒気帯び運転での逮捕歴が明るみに出たが、それもそうした「過去」の１コマだ。　

乗り越えることはおろか、あとをたどることすら難しい偉大な父。その足跡を前にして、一体どうやって自分の人生を切り開いていくか。考えあぐねていたのが、これまでの前半生だったと言える。９４年、大方の予想を破ってテキサス州知事に当選してから、政治家として頭角を現し始めた。ヒスパニックなど、従来の共和党の枠を超えた幅広い支持を集めるのが強みだ。今回の大統領選は、そんなブッシュ氏にとって唯一、父に追いつき追い越すチャンスだった。ブッシュ氏のリーダーシップの特徴は、秀才型の父とは異なり、大胆なまでの「職務委任」にある。「会議は１５分。分厚い資料を読み通すことはない。提案を持ってくるよう求められる」。幼なじみで州政府の首席補佐官を務めるジョンソン氏は言う。長い議論は好きではない。部下の意見をきいたうえで、即断する。

　最大の弱点はスタッフに頼り過ぎることだと、テキサス大学のブルース・ブキャナン教授は指摘する。タイム誌の取材に対し「問題は、アドバイザーが出してくる選択肢の信頼性を見分ける立場に必ずしもいないことだ」と説明する。来年１月、ホワイトハウスには、これまで以上に層が厚く、質も高いチームを引き連れて乗り込むことになる。どう使いこなして複雑多岐な国政運営に当たるか。それが最大の課題だろう。

◇１９４６年、エール大の学生だった父ジョージ・ブッシュの長男として生まれる。エール大、ハーバード・ビジネス・スクールを経てテキサス州で石油開発会社を興す。９４年から現職、現在２期目。妻ローラ。双子の娘は大学生。５４歳。[2000-11-08-17:42]