朝日09/27 15:04 ◇クレオパトラも使った香水原料の人工合成に成功◇

1.キイワード；香水、人工合成

2.関係者；関西学院大（兵庫県西宮市）田辺陽教授（有機合成化学）、ジャパンエナジー医薬バイオ研究所（埼玉県）

3.概要；楊貴妃やクレオパトラも愛用したとされる高級香水の原料シベトンの効率的な人工合成に、関西学院大の田辺陽教授らの研究グループが成功し、２８日、京都市で開かれる「有機合成シンポジウム」で発表する。シベトンはアフリカなどに生息するジャコウネコからしか採れない貴重な香料で「野生動物保護にもつながる」として注目を集めそう。シベトンは炭素が１７個連なる複雑な環構造をとる。高純度のものを低コストで人工合成するには、反応速度を上げることが課題だった。関学大とジャパンエナジー医薬バイオ研究所（埼玉県）の研究グループは、原料のオレイン酸を酸化させたうえで、チタンを触媒として反応させれば化学合成が速く進むことに着目。炭素化合物を数十時間というこれまでにない早さで得るのに成功した。

　ジャコウネコはアフリカの草原地帯などで生息。エチオピアなどでは飼育してシベトンを採取しているが、密猟もあるとされ、絶滅が心配される。研究グループによると、１年で採取できるのは１匹３００グラムほどで、１キロ数十万円の「高根の花」だという。田辺教授は「低コストで、天然のものに劣らない香料が生産できる」と話す。世界自然保護基金日本委員会は「世界的な野生動物保護の動きの中で、意義深い研究だ。これまで動物から採取してきた工業原料などにも応用を進めてほしい」と評価する。