朝日09/26 11:36 ◇ロケットＨ２Ａ・１号機、衛星乗せずに「から打ち」に◇

1.キイワード；ロケットH2A・１

2.関係者；宇宙開発事業団

3.概要；宇宙開発事業団の次世代大型ロケットＨ２Ａの１号機が、衛星を乗せずに「から打ち」される可能性が強まった。技術的問題を検討していた国の宇宙開発委員会の技術評価部会が、１段目エンジン「ＬＥ７Ａ」に設計変更が必要とし、来年２月の打ち上げに間に合わなくなったため。同ロケットでは欧州宇宙機関のデータ中継技術衛星「アルテミス」を打ち上げる予定だった。同部会は２７日にこの方針を宇宙開発委に報告する。ロケットのから打ちは初めて。国産ロケットの国際衛星打ち上げ市場への参入計画も大きく後退しそうだ。

　ＬＥ７Ａの技術的問題は８月の燃焼試験で明らかになった。燃料の水素を送り出すポンプに異常振動が発生し、周辺のボルト１２本が破損した。宇宙開発事業団は当初、「ボルトの形状を変えることで問題は解決する」などとしていたが、技術評価部会は想定外の振動が起こったことを重視。このポンプの設計を見直すことで意見が固まった。大島理森・科学技術庁長官は２６日の閣議後の記者会見でこの問題に触れ、「技術評価部会の報告をまって、判断していかなければならない。アルテミスの打ち上げ計画についても検討していくことになると思う」と述べた。Ｈ２Ａの１号機には衛星がわりの模擬物体を搭載する見通しで、ロケットの性能を確認するだけの打ち上げになるとみられる。Ｈ２Ａの打ち上げ費用は１機約９０億円。