トップページに戻る
ニュースのページに戻る

2015.7.14 イランと6カ国（E3/EU+3）の合意成立

これは間違いなく歴史的な合意
１）1979年のテヘランの米国大使館のイラン学生の占拠以来のイラン米国の対立の終わり
２）2002年のイランの秘密のｳﾗﾝ濃縮技術開発の発覚以来のイランへの国際社会の制裁の終わり

今回の６カ国というのは正確には「E3/EU+3」ですね。欧州の３か国とEUと米国、ロシア、中国、人数にすると７名。それにイランを加えて8人が調印式に並びました。EU代表は女性。
最大の焦点は、パルチン軍事施設。IAEAは12/15までにイラン核開発は核兵器目的で実験を行ってないと確認のレポートを作り初めて制裁解除。
イランはイランの原子力開発は一貫して平和目的と主張。イランはパルチンへの立ち入りは認められなかったと主張。IAEAはその件は別の取り決めに書かれていると主張。どうも秘密協定があるようです。
7/14合意はなにがなんでも合意したいというオバマ大統領の熱意が通った、しかし問題は先送りですね。今後はIAEAとイランのせめぎあいですね。

合意については159ページの全文転載あり
http://www.theguardian.com/world/2015/jul/14/iran-nuclear-deal-full-text-of-joint-comprehensive-plan-of-action

Joint Comprehensive Plan of Action
Vienna, 14 July 2015

PREFACE
The E3/EU+3 (China, France, Germany, the Russian Federation, the United Kingdom and the United States, with the High Representative of the European Union for Foreign Affairs and Security Policy) and the Islamic Republic of Iran welcome this historic Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA), which will ensure that Iran’s nuclear programme will be exclusively peaceful, and mark a fundamental shift in their approach to this issue. They anticipate that full implementation of this JCPOA will positively contribute to regional and international peace and security. Iran reaffirms that under no circumstances will Iran ever seek, develop or acquire any nuclear weapons. Iran envisions that this JCPOA will allow it to move forward with an exclusively peaceful, indigenous nuclear programme, in line with scientific and economic considerations, in accordance with the JCPOA, and with a view to building confidence and encouraging international cooperation. In this context, the init!
ial mutually determined limitations described in this JCPOA will be followed by a gradual evolution, at a reasonable pace, of Iran’s peaceful nuclear programme, including its enrichment activities, to a commercial programme for,,,,,,,,

合意によりイランは向こう１０年超、ウラン濃縮などの核開発活動が縮小、制限される。具体的には、
１）遠心分離器を３分の１に縮小、
２）ウラン濃縮度は１５年間で３．６７％以下に制限、
３）濃縮ウラン保有量は１５年間で３００キログラム以下に制限、
４）ウラン研究開発は１５年間ナタンツ施設に限定、
５）兵器級プルトニウムの生産禁止──など。
さらにイランが合意内容に違反した場合、６５日以内に制裁が戻される（スナップバック）措置も盛り込まれた。
こうしたなか、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）は１４日、イランの核開発疑惑の年内解明を目指すロードマップ（工程表）について同国と合意した。イランの核開発に関する「軍事的側面の可能性（ＰＭＤ）」に関する最終報告の取りまとめが制裁解除の前提条件となる。
天野之弥事務局長は、今年１２月１５日までに自身が「すべての問題の解決策に関し、最終報告書を提出する」と述べた。ＩＡＥＡが求めているテヘラン近郊のパルチン軍事施設への査察団の立ち入りについては、別途調整するという。

今回、12月１５日までに提出せねばならない、天野レポートの内容は、以下のサイトで明示されています。
https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-director-generals-statement-and-road-map-clarification-past-present-outstanding-issues-regarding-irans-nuclear-program
具体的には、以下のレポートで提起された、疑問点に答えを出すことです。
https://www.iaea.org/sites/default/files/gov2011-65.pdf

GOV/2011/65 Date: 8 November 2011
Original: English For official use only
Item 5(c) of the provisional agenda
(GOV/2011/63)
Implementation of the NPT Safeguards Agreement and relevant provisions of Security Council resolutions in the Islamic Republic of Iran
Report by the Director General
IAEAは、関係国から、イランはミサイル用の核弾頭を秘密裡に開発して起爆装置の実験をパルチンで行ったとの情報を得ている。
イランは一貫してイランの原子力開発は平和利用と主張している。
この矛盾点について、イラン側は文章で釈明して、疑問点の内容に答えてください。
問題点については、別途の取り決めを、IAEAとイランは交わしてる。

ロードマップは
１）２０１５年8月１５日までに、別途取り決めに書かれたイッシューについてイランは説明文と証拠書類をつけてIAEAに提出する。
２）IAEAは受け取った説明・書類を２０１５年9月15日までにレビューして、これらに不明瞭な点があれば、イラン側に質問を出す。
３）この質問書、また別途取り決めで定められた専門家会合、技術手段での不明瞭点があれば、テヘランで、これらの不明瞭点を除去するための会合を行う。
４）パルチンの問題については更に別の取り決めでIAEAとイランは合意している。
５）以上の全ての活動はGOV/2011/65のアネックスで提示されたイッシューを解決することを目的として２０１５年10月15日までに終える。
６）DG（天野）は２０１５年12月１５日までにIAEA理事会に過去及び現在のイッシューの全てに最終結論を出して、報告する。

これは結構、大変な仕事です。秘密取り決め（アレンジメント）が2通あるようですね。
天野事務局長はテヘランに飛び、イラン大統領と会ったりで、そこでアレンジメントの内容をつめたのでしょう。
IAEAには優秀なスタッフがいますから、それらの人々も同行したでしょう。
この天野レポートとイランへの制裁解除の時機の関係、2015年10月１５日までに全ての活動をIAEAが終えるが条件。
全体でも合意から９０日以内に制裁解除ですね。
ですから、IAEAの秘密取り決めに基づく要求にイランが応じない場合は、10月15日の期限が守られないので制裁解除が行われない、という縛りになるわけです。最終的には２０１５年12月１５日までの最終レポートで決まり。
パルチン査察ですが、1回くらい認めるというのが秘密取り決めに入っていると思います。
何もなしでIAEAがイランと合意はあり得ないのでは。


＜ハアレツ、イスラエルのサイトで解説が詳細かつ客観的で合意の全文が読める＞
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/1.665945
Nuclear restrictions and inspections in exchange for lifting of sanctions: The details of the Iran deal
Before the economic sanctions are lifted, the IAEA will have to confirm that Iran has fulfilled certain technical steps and reported them to the UN Security Council.
By Barak Ravid | Jul. 14, 2015 | 1:38 PM | 1