トップページに戻る
ニュースのページに戻る

020.02.19 小姑の横綱相撲 霧島洋子 向田邦子再び 文藝春秋 1986年8月

週刊文春でお互いに連載物を持ったことがある。
とても敵わなかった。よく気が作文章であった。中年男の琴線に触れるのがうまかった。
向田邦子は私以上に傷つきやすく人見知りで怯えた性格であったのだろう。

彼女と二人きりで喋ったのは文藝春秋の忘年会であった。
高名な作家が出席で駆け出しの自分や向田邦子は居所がなかっただけに二人は目があいすぐ意気投合した。
週刊文春で男の品定めという企画を行い、イーデスハンソン、富士真奈美、それから向田邦子、霧島洋子の4人の座談会であった。
向田邦子は舌鋒鋭く次々と男をなで斬り酷評、その鮮やかさに劣等感に際悩まされた。
ところが、向田邦子はその毒のある部分をゲラ段階で全部、削除してしまい、自分の小さな毒舌部分が際立ってしました。
向田邦子の事故死で多くの人が追悼文を書いたが、そのなかにあきらかに向田邦子が毛嫌いしている人々がいた。
なんと、それらの人々も如何に彼女と仲良く付き合っていたか書いている。
向田邦子は我慢の人でいやな人と仲良く付き合えた。
座談会の二次会で銀座を飲みあル機、次は新宿というところで自分は実は酒に弱いと逃げ出した。
そこで向田邦子は、次は貴方の家で布団を引いて好きなだけのみましょとなった。
料理も食べることになった。聡明な女は料理がうまいという本をだしたばかりであった。

種々の分野の人、20名ばかり集めて自宅でパーティーをした。
パーティーの席では向田邦子はどちらかと言えば寡黙であったが、一言口をひらけば皆を傾聴させる内容があった。
また、彼女の口癖の「後妻の口がないかしら」が出て、これは本音だと思い、胸を衝かれた。
突然、腕相撲をしようと言い、女の部で手をあげたのは、50代の向田邦子、40代の霧島洋子、30代の小林則子、20代の中島梓で
4世代対抗となった。結局、向田邦子がバレーボールで鍛えた筋肉質の腕で優勝した。
それから半年もたたずに向田邦子は亡くなった。いただいたシャンパンは次回の腕相撲大会のチャンピオン賞にしようと、酒棚に置いたままである。