020.02.11 南青山と北青山で 早瀬圭一（作家） 私が愛する向田邦子 向田邦子を読む 文春ムック2018年1月11日
向田邦子は誰とでも明るく楽しく話していた。実際は違う。嫌いな人とは顔もみたくないという激しさがあった。
私が向田邦子を知ったのは1975年の春だった。
新聞社の社会部から週刊誌のデスクに移動、その電話は短い原稿を頼まれたが対応が悪いので断るというもの。
それから一週間後に,深夜2時に六本木のクラブ「西の木」で偶然あった。文化人や芸能人の集まる場所。羽仁進や別れたばかりの左さち子も出入りしていた
そこで会話が私の母に関するものとなった。
母は大学病院の勤務医の妻で全国を転々、同居してきた妻を北青山の２LDKに独り住まいさせた。自分は亀有駅前の公団住宅に住んでいた。
女2人が妻と姑が同居するのは無理であったので。亀有と北青山（表参道）は地下鉄千代田園1本で36分の距離。
母は酒が好きであった。父は酒乱でその影響で酒をたしなむようになった。昼間からちびちび飲む。
飲んで絡むわけではなく最後は酔いつぶれるだけ。女の老婆の酔っぱらいはよいものではない。週に2-3日そこに泊まった。
向田邦子にあったのは母の一人暮らしが始まって３ねんぐらい、母のところに弁当持参で訪問、取材のようであった。
東京の楢山ぶしこう、姨捨山のようにかんがえたのかも。向田邦子のマンションから歩いて１０分の距離。
それからも時々訪問、3年後昭和53年秋にに母が倒れて、特別養護老人ホームに入った。
しこにも向田邦子は時々訪問したよう。・
新潮社から「長い命のために」を献本していた。1981年8月14日に向田邦子から電話あり、是非会いたい、2時間ほど食べて飲んだ。
とうとう母のことを書いたのね、長く話したいが海外取材旅行があり、帰ってから話す。これは新本の出版祝いだ。
生ビールを何倍も飲まれた。いつもと少し違っていた。
その一週間後に飛行機事故死。。