2020.01.27 小田島稔 調理師 男性鑑賞法３ 夜中の薔薇 向田邦子
女は何故、プロの料理人になれないのだろう
「女性は冷静になれないからですよ」
喜怒哀楽は包丁に出る。味にあらわれる。
身も心もいつもベストコンディションにして、きげんよく俎向かうのがプロの料理人の心がけ。
この人の経歴を聞くと、その効率のよさと計画性に舌を巻いていまう。
高校卒業後、板前修業。
8年の間に12軒の店を回り、日本料理のコツを学んだ。
25歳でパリの「たから」に入って2年8か月。
外国にあってワインの智識を身に着ける。
この5月麻布に店を持つ。3人雇用。
酒を飲む。煙草も普通に吸う。客と同じコンデションを保つ。
包丁さばきもうまそうだがひとさばきはもっとうまそう。
出世魚ににている。わかし、いなだ、ぶり。夢はパリに店をもつこと。
悪びれず堂々としたしかも打てば響くような立派な答え。
ロッククライミングが好きで、板前を選んだのも、まとめて休みがとれるから。
この出世魚が自信と謙虚が絶妙に混じった微笑で無遠慮な質問者を見送ってくれた。