2019.12,20　幸福　向田邦子　19８１年　隣の女に入っている、

これは率直にいって失敗作とも言える短編小説であった。

向田邦子の得意とするホームドラマ。
元中学校長の高齢の父と娘２の一家、それに長女と結婚寸前までいった兄弟。
高齢の父が家出して、伊豆の若い女性と同棲する。
主要な登場人物は5人。
手慣れた人物描写ですね。
主人公は次女,素子で洋服の下て。長女組子はスナック経営の水商売。
5人を結びつけるのは匂いですね。体臭であったり、旋盤の匂い。
最後に、素子と数夫の幸福論、人生とはもがき苦しんでもいいのだ、流れに任せて生きていくのが幸福である。

アマゾン；説明
愛してはいけない女（ひと）との、ただ一度の過ちを胸に秘め、小さな町工場で油にまみれて働く、無口な青年数夫。そんな彼の前に、兄の婚約者だったそのひと、組子が再び現れた・・・。数夫を慕う組子の妹素子、組子を見守る中年男八木沢、そして数夫を憎む兄の太一郎。さまざまな愛が、互いにからみあい、もつれ、傷つけあう姿を通して、本当の「幸福」とは何かを問いかける、男と女の愛のドラマ。