2019.11,2４ 父の詫び状 向田邦子 1978年刊
向田邦子の『父の詫び状』を読みました。46才から48才の時の随筆。乳がん後の遺書のつもりで執筆とか。
全て自分の体験談のようですね。既に読んだ話もありますが、初見のものも多数。40年以上の幼少のときでからの、
驚くべき記憶力、それから鋭い観察力。超人的ですね。実父、父方の祖母、既に鬼籍に入っていたから書けますね。
祖母は背の高いかなりの美人だったとか、教養もありますね。ところが、自分の感情のままに行動、未婚の母で父の
違う男の子を二人生み、相手を好きになると制御できず。それで困るのは生まれた子供で長男が向田父、幼少時は
祖母とともに、点々と親戚の家で居候。祖母の針仕事で生活を支えたとか。
居候ですから小さくなって生活、靴の脱ぎ方でも玄関の片隅に揃えて置いたとか。向田父が向田母と結婚した時、
自分の家を持ち、玄関で靴を真ん中に乱暴に脱ぐことが望みだと言ったとか。実際、向田父の靴はそのように乱暴に脱がれて
いたとか。また向田父は生涯、祖母を許さなかったとか。
邦子はこの随筆のなかで、自分の性格は父母より祖母に似ているとか。好きなことに後を顧みず没頭して、最後に
時間に迫られてあたふたするとか。この随筆ではＮ氏との秘めた恋については全く触れてないのですが、22-23才の時に
13才年長の妻子持ちのカメラマンと恋に落ちて34才までの士別まで付き合った秘密が解けますね。
最も面白かったのは「隣りの匂い」で国会議員Tの秘書に危うく採用されになったこと。これ田中角栄ですね。
1950年に実践女子専門学校を出て「大財政文化社に社長秘書として入社、従業員１０人前後のの小さな会社、教育映画を作製」に就職する前に就職先探しで学友が議員秘書でその事務所訪問。会った田中角栄に直ちに気に入られて叔母の家に下宿というと事務所の2階に寝てもいいと言われ、その夜は角栄の宴会に社会見学で連れていかれたとか。大物代議士の裸踊りとか、氷り彫刻と伊勢海老の生き作り、宴会を途中で帰ろうとするとこれで靴を買いなさいと5000円入り封筒（これはすぐ秘書に戻したとか）、同居の家族は何人か尋ねられ答えるとその数だけ寿司折りのお土産。仙台の父にここに就職したいと手紙を書くと、直ちに父が上京してきて、仙台に半ば強制送還。友人にこの話をすると、ぶら下っていれば第5夫人か第六夫人になれたのにとからかわれた
とか。田中角栄は、邦子の才気煥発さがすぐ気に入ったようですね。田中角栄の金権ぶりと行動力をよく示すエピソードですね。
N氏との関係、邦子が姉妹とスキーに行くとき、バス乗り場にN氏がきたが邦子は冷たく対応
sの後、N氏の母親が邦子を訪ねて、N氏の生活が乱れて酒を飲みすぎ、邦子はN氏の母親に資金援助、よりを取り戻す、
1964年2月の2年前に脳卒中、右足が不自由、
和子の目撃談ではN氏はずんぐりむっくりで身長は邦子と同じぐらい、やさしい感じ
1960年頃、父親のよそ見で騒動。家を出る雰囲気、そのころの勤務先の給与h4500円
TVのシナリオライターの報酬は安く、植木のセット代と同じ